ほたすけと父のお出掛け日記

お出掛けが趣味の一家の記録です

映画「すずめの戸締まり」鑑賞【ネタバレ寸前】

久々に筆を取り、当日の日記として記録します。

先週水曜日に本日10時10分のシアタス調布の回で新海誠作品「すずめの戸締まり」を予約、「君の名は。」でほたすけくんがドはまりして以来、3作すべて劇場で(可能な限り公開から最速で)鑑賞することができたので、その記録です。

なお以降、直接的なネタバレはありませんが、ネタがダダ漏れする記事なっていますのでご了承ください。

 

 

正直言うと、観る前の期待は、「映像音楽で「君の名は。」を超える最高の体験をさせてくれそう」「なぜ日本を北上するのか、どこが選ばれて聖地になるのか(また行こうかな...)」「前回(天気の子)の反省から小さい子供対策はどうなっているか?(明るくなってるかな?)」ぐらいな軽い気持ちでした。もちろん事前のネタバレ記事はすべて避けて鑑賞したわけですが、まったくもって裏切られました...というか、「期待」をぶち壊す作品を目の当たりにして戸惑っているのが正直なところです。

観た後の感想の前に、まだ未鑑賞の方へのメッセージですが(すでにいろいろネットにある情報です)、「3.11東日本大震災」が題材となっており、そこに敏感に反応してしまう方は覚悟してください、心の持ちようによっては、鑑賞を続けられなくなるかもしれません(あれから10年経っているので、もうそんな方はいないという希望はありますが)。

というわけで、数行空けて上記の「戸惑っている」理由と、それを含む今現在の世間の評価感を書きます。大枠の内容にも触れますのでこれから純粋に鑑賞したいという方は、ここで読むのをやめてください。

 

 

 

今までの新海誠作品は(程度の差こそあれ)、「現実とは違う出来事」を前提に、主人公の気持ちが「ぶれながら」、様々な出来事を起こす中で表れる「示唆の連鎖」が最後のカタルシスを生む、「わかる人にはわかる」作品というのがdikの鑑賞ポイントでした。散りばめられたメッセージを探し出し、作り手の想いと巡らせて考察を愉しむことができるか。その想いの一つの要素として「東日本大震災」が出てきたのが「君の名は。」でしたが、それは直接的な描写はされず(作り手は意識したと言っていましたが)、考察のひとつにすぎませんでした。が、今回このdikの軸が見事に破壊されてしまったことが、戸惑いにつながっているようです。

現時点でのネットの感想をざっと見るに、もちろんおおむね高評価ですが、はっきりと「良い」と書かれている点はdikの鑑賞ポイントからすると本質ではなく、いつもの「画像の綺麗さ」「劇伴と主題歌」「キャラクターの魅力」(このレベルの男性キャラクターは新海誠作品でも初登場であり、これから大きな話題を呼びそうな気もします)と、今までなかった感想として「ロードムービー的な触れ合い」といった感じ。さらに今後、「君の名は。」のようなテンポの良さも高評価に加わりそうです(ただ複雑さはそれほどではないので、複数回鑑賞に堪えるかどうかは微妙ですが)。

なのですが、今回劇場で上映が終わった後、満席だった観客がほとんど何も語らず黙って劇場を後にしていく...とても「楽しい映画」を観終わった後のような感じがなかったんです。少し時間をおけばいろいろ感想を話し合えるようになるとは思うのですが、少なくとも劇場を出るくらいまで、しばらくはみんな無口になっていたような。なのでネットの総合評価が「(うん、まあ)良かったよ」であることも納得できます。

あとからいろいろ考えましたが、dikとしては、やはり「現実の出来事」を前提に、(「天気の子」の反省から?)わかりやすいストーリーを「ぶれない」キャラクターが演じ、「誰もがテーマを感じ取れる」映画であることが、新海誠作品に対して考えていた鑑賞ポイントを否定されてしまった、ということが今の戸惑いにつながっているようです。端的にそれを一つ書けば(上記に書いてますからいいですよね)、「3.11」が原因となる事件を主題としていること、それによって誰もが「全体として否定できない」空気感を生んでいるようだ、というのが、dikが本日たどり着いた感想です。

逆に言えば、今回新海誠監督は自ら、エンタメを通して、現実の悲劇を後世に記す最初の重責を担ってしまった、ということになります。「君の名は。」「天気の子」では間接的な影響であり、または連想の世界だった大震災をテーマに置いてしまった。もちろんフィクションですが、現実世界におけるプロットとしては十分あり得る話と納得してしまうこと、新海誠作品の特長であるあまりにも美しい映像と、余儀なく感情移入を促されるRADWIMPS&劇伴チームの作家性が否定を許さない。日本人、そしてあの震災を歴史にとどめておくべきと考える世界中の人に(高低含め)評価されてしまう、ある意味罪深い業をやりきってしまったのだと思い至りました。

ただ「君の名は。」以前の作品を含んで、新海誠作品のdikの評価軸である「映像美」と登場人物の(ちょっとした)言動による「示唆の連鎖」の要素は残されており(到達点に至った=詰め込みすぎの感もあり)、その意味では過去観たすべての日本語の映像作品(「君の名は。」含む新海誠作品も、もちろんそれ以外も含む)と比べて優れていると(現時点では)思っています。あと1回観て、結果を知っている余裕をもって再確認をするまでで今回の鑑賞(ある意味「感傷」)は終了(というかおそらく耐えられない)かと思います。

というわけで、新機軸を作り出したという意味では本作へのdikの評価は「君の名は。」よりも低い(「君の名は。」は以前の新海誠作品と比べてあまりにもいい方向に変わりすぎたことと、ストーリーの複雑性とテンポが最高でした)ですが「天気の子」よりは高く(=つまり全世代老若男女にお勧めできる高評価であるということ)、また新海誠監督が次回作ではどんな新機軸を出してくるかという新たな楽しみが増えた、というのが現時点での結論です。ここだけは現役世代であるほたすけくん(次はどんな作品をつくるんだろう、が漏れ聞こえた感想でした)も同意見でした。

最後に一言だけ。これはネタバレすれすれなので、数行空けて書きます。

 

 

 

マクドナルドで配っている「すずめの戸締まり」の絵本ですが、映画を観た後に読むと涙が止まらなくなります。主題とは全く関係ないですが、この作品のすべてを味わいたければ入手することをお勧めします。